David Hammonsの作品に故郷を感じる

先日MoMAへ行った時、
クラスの課題用のアート鑑賞を終え、そのままフロアを色々と見てまわっていた時に目にとまった作品のひとつ。
アーティスト: David Hammons   作品名: Untitled (Night Train) 1989年作

MoMAの4F、戦後→現代の作品を展示しているコーナーにありました。
1か月程前に行ったときにはたしか展示されていなかったので「これ、前回は見てないな...」と気になったのと、
この「ガラス瓶が何個もくっついた様+いっしょに敷かれた石炭」というビジュアルが、子供の頃から何度か訪れた地元広島の平和記念資料館などで展示されている資料、「原爆の熱で溶けてくっついたガラス瓶+街の瓦礫」を思い起こさせてくれた、のが印象に残った理由です。

ギャラリーのテキストには作品名・作者名・素材などのベーシックな情報しか記載されていなかったし、予備知識もなくその場ではこの作品が何なのか、わかりませんでした。

帰宅し、かんたんにリサーチしてみたところ、この作品にはブラックアメリカンの人種問題がベースになっており(アーティストは現Harlem, NY在住のブラックアメリカン)、奴隷として扱われてきた歴史やドラッグ問題、そしてこのNight Trainという名前の安い酒の瓶をスパイラル状に重ねていった形が表すアルコール依存の負のスパイラルがテーマになっているようです。

アートというのは...難解であることもしばしばです。
歴史背景や作者のバックグラウンドを知ってはじめて作品の意味がわかる。。。ってことは知らなきゃ作品の意味がわからない。
そんなのどーでもよくて、見てただ「キレイ♪」とか「かっこいい!」とか「好き!」とか、それでいいじゃん!とも思ってしまいます(笑)

ただ、改めて思ったのは、作品やモノを見る時の視点は見る人の経験や知識に基づくものだということ。
例えば今回のこの「くっついた瓶」も、「アルコール問題」ととらえるほかに、広島人の私のように原爆を身近に感じて育ってきた背景が原爆の資料で残る「溶けた瓶」とも受け取られる。。。

面白いものだと感じたのとともに、
つくづく、私に「広島出身」というアイデンティティが備わっているんだと、、、実感。

・・・・なんだか、ブログの内容がどこに向かっているのか(笑)抽象的になってきました。
夜通しテスト勉強やってるとこうもなってきます(笑)

今日も一つファイナル(期末試験)があります。頑張ってきましょう♪


心を込めて綴ります
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コメント

  1. あえてそのまま床に置くディスプレイも、このアートの意味を強調している感じですね。

    そういえばメトロポリタンオペラの「ファウスト」で、広島の原爆ドームの投射イメージがオープニングで使われ、原子爆弾の模型がステージにどんっ!と置いてありました。

    おそらくファウストに、原爆を開発し、その後深く後悔して天才科学者としてのキャリアも、人生も潰してしまったオッペンハイマーを重ねたものだと思うんですが・・・
    私的には、原爆ドームと原子爆弾をそのまま再現しなくとも、その想いを表現できるのが、アーティストなんじゃないかなぁ・・?と思いました。

    私も子供のころ、原爆記念展とか親に連れられて行きましたが、あのメトオペラの舞台を作ったアーティストは、おそらくそういう原体験がないから、自分の想いをアートとして昇華させることができなくて、あんなあからさまな模型とか作っちゃったんだろうな、とか僭越ながら(笑)思いました。

    そういう意味では、原体験を持つアーティストが作ったNight Trainは、やっぱりアートとしてクオリティが違うなぁ・・・と、素人ながら感心しました^^;

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    1. そのメトロポリタンオペラのお話&kawamukoさんの感想はとても興味深いですね♪
      たしかに、世の中のアーティストは色んな表現を駆使して作品を作っていますよね。本当に本当に、色々調べて知識をもたないと意味が理解できないいわゆる「難解」なものもたくさんです(とくにコンテンポラリー(笑))
      その舞台での原爆の描写はとてもダイレクトなもののようですね。その意図や狙いはわかりませんが...もしかするとNYで行われる、ある意味世界各地又はアメリカからのオーディエンスを想定してのこのだったのかもしれませんね。原爆(被害)から距離のある(日本人に比べれば馴染みの少ない)オーディエンスへ向けた分かりやすい描写なのかもしれませんね。そうしないと、抽象的な表現ではオープニングのイメージが原爆につながりにくいのかも...なんて、舞台を見ていない私の憶測ですが、そんな感じもします。
      Nighth Trainは、同じ国(アメリカ)で幾度となくとりあげられている社会問題(人種・ドラッグ・貧困)を、この国で消費されるNight Trainの馴染みあるボトルを使って表現されている...ので、アメリカ(ひいては西洋)文化がベースのオーディエンスには、抽象的よりももう少し分かりやすい、読み取りやすい表現なのかもしれません。
      この作品の話をLLAMAにするとNight Trainの名前で「安い酒→サークル→addiction&poverty」とすぐにイメージできたようです。私はNight Trainが何なのか知らなかったのですぐには理解できませんでした。そんな違いかもしれませんね。

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  2. なるほど〜、アメリカ人にとっては、比較的ダイレクトな表現のアートなのですね。

    メトの場合は、私的には、ファウストとオッペンハイマーを重ねること自体がちょっと違うんじゃないか・・・?と思っていたので、余計あの演出が、押し付けがましい解釈というか、ダイレクトすぎに感じるのかもしれません。

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    1. ファウストをチョイスされ、冒頭の演出にオッペンハイマーを連想されるkawamukoさんのダークな(?)博学さがステキです♪
      私はアートヒストリーやマネジメントを専攻しているくせにヒストリーや文学に非常に疎い(今まで興味が無かったんです!)ので、、、作品のcontextを理解するのにとても悪戦苦闘しています(笑)しかし最近古い詩や文学も知っておかなければ、という事にやっと気づき、これから色々と知っていかなければ...と思っています!

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